ワイン用ブドウにおけるヨーロッパ系(vinifera)交配種については、「ホイニッシュとサヴァニャン」とか「カベルネの相関図」とか、「サン・ローランを巡る交配種 ロンドとツヴァイゲルト」でも取り扱ってはいるのだけれど、今回、それらの系図の中にも掲載されていないシェンブルガーという珍しいブドウ品種のワインに遭遇。
といっても、初めてじゃなくて、2回目なんだけど。
調べてみると、ドイツでもあまり知られていない品種らしく、「ドイツワイン」のサイトでも紹介はなし。
うちのサイトでも「ドイツの葡萄たち」という記事にまとめたけれど、ここでもスルーしちゃってるし。
さて、シェンブルガー、出自は「マスカット・ハンブルグ×シュペートブルグンダー」と紹介されていますが、ブドウはところ変われば名も変わる(シノニム)ので、シュペートブルグンダー=ピノノワール のほうがなじみがある人も多いはず。
一方の、マスカット・ハンブルグはどこかで見たなーと思うと、マスカット・ベーリーAの片親だから。マスカット・ハンブルグ自体は、トロリンガー/ブラック・ハンブルグ/スキアヴァ・グロッサ×マスカット・オブ・アレキサンドリアの交配種。
トロリンガーと言えば、ドイツの主要赤ワインぶどうのひとつ。
ブラック・ハンブルクは、英語だよね? マスカット・ハンブルグ自体は、イギリスで交配された品種なので、親の名前もブラック・ハンブルクと英語名になってる……のかも?
ちなみに、スキアヴァ・グロッサは、イタリア語。
ところで、VIVCのデータベースで検索して、シェンブルガーの出自を調べてみると、親はネットで紹介されていたのと少し違っていて、ピロバーノ1×ピノ・ノワール。
ピロバーノというのは、イタリアの育苗家アルベルト・ピロバーノさん……かな? データベースで調べると、ピロバーノ1~1000以上までずっと育種番号付きの品種データが出てきます。ちなみに、ピロバーノ2がアンジェロ・ピロバーノ。「サンセミヨンのフル系図に挑戦!」でも紹介したとおり、笛吹の親(ミルズ×アンジェロ・ピロバーノ)です。ピロバーノ1も2も、親は同じなので、兄弟種。
データでは、シェンブルガーのTasteはMuscat。
morinopapaのワイン記録では、「ライチのような香り」になってます。
#日本ワイン#今日のワイン
— もりのパパ (@morinopapa) May 31, 2022
シェンブルガー 2020年収穫
山梨県甲斐市 (株)シャトレーゼ ベルフォーレ ワイナリー
アルコール分:9%/糖度:7.3%(実測)
山梨県北杜市産シェンブルガー 白ワイン
ライチのような香り。アルコール分低めでライチジュースのようでいくらでも飲める。
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