ワインのラベルの説明に「マスカットの香り」と書いてあるものは少なくない。先日、はこだてわいんのポートランドを飲んだ時も、ラベルに「マスカットの香り」と書いてあって、確かにmoripapaは「マスカットの香り」だと言うし、そう言われてみればマスカットのような気もするけれど、よくよく考えると、マスカットの香りってかなり漠然としている気もするなぁ。
#日本ワイン#今日のワイン
— もりのパパ (@morinopapa) April 20, 2021
ワイナリーでしか買えないワイン
北海道亀田郡七飯町 (株)はこだてわいん
アルコール分:12%/糖度:9.6%(実測)
北海道産ポートランド、やや甘口白ワイン
マスカットのような甘い香り。糖度も高いが、酸味があるので甘ったるくはない。ほんのり苦味がある。
🖤🖤🖤(おすすめ) pic.twitter.com/Igq6qLxfBK
「マスカットをもう一度」を書いている時に、調べていて、「muscatは、ムスク=麝香の香りがする」という記述をたくさん見かけたのだけれど、じゃあ、麝香ってどんな香りなんよと考えた時、ぶどうのマスカットと麝香は、なんか違うんじゃね? という気はした。もっとも、モノホンの麝香を嗅いだこともなければ、香りの専門家でもないし。
もっとも、wikipediaでは「麝香(マスク、ムスク)」に喩えられる強い香り」だし、サントリーさんのサイトでは「マスカットはいわゆる「ムスク(麝香)」の香りを持つぶどう」(下線部は当サイトで添付)と、ハッキリとは書いてない。
ムスク自体の効能として、香水に少し添加すると、香りに広がりと持続性を持たせるということなので、芳香性、アロマティックな香り、ぶどうの場合は、ブドウっぽい強く広がりのある香りがあるのが=マスカットなんかなと思う次第。
まあ、マスカット(ミュスカ=モスカート)からする香りをマスカットと定義すると、マスカット系列のぶどうから、マスカットの香りがするのは、当然のような気もするけれど、前出のポートランドは、マスカット系列ではない。
いろいろ調べていくうちに、マスカットの香りは揮発性のモノテルペンのうちのリナノールとゲラニオールに由来するものという説明を見つけました。(ワインブログ:情熱とサイエンスより)。リナノールを多く含むのは、マスカット品種の他には、ヴィオニエ。大森リースリングにも多いとのこと。ゲラニオールの多いのは、マスカット品種とゲヴュルツトラミネール。
マスカット香が多いのは、マスカット品種、アルバリーニョ、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、オーセロワ、ミュラー・トゥルガウ、ヴィオニエ。
一方、ノンアロマティック品種(マスカット香があんまりしない)の代表は、シャルドネ。
ヴィオニエはフランス産のプライマリー品種。オーセロワは、交配的にはムロン・ド・ブルゴーニュと一緒だけど、違う品種。もっとも、ムロン・ド・ブルゴーニュもメロン(マスクメロン=麝香瓜)とつくくらいなので、これも、それなりの芳香性を持つんでしょう。
ゲヴュルツトラミネールの変異前の種トラミーナー(サヴァニャン・ブラン)も芳香性があるらしいので、ここに、ゲラニオールを産出する遺伝子があるとして、その子孫であるシャルドネでは減る。グエ・ブラン(ホイニッシュ・ヴァイス)自体は、昔に劣等品種として、栽培が禁止されていた経緯もあるのか、今も栽培の痕跡が見つかりません。どんなぶどうなのか、ワインになるのか、確かめようがないので、もう片親も不明のリースリングの芳香性遺伝子がどこから来たのか、これもわかりません。
もっとも、シャスラ・ミュスケのように、変異して芳香性が高くなったと思われる品種もあるので、結構、ここらあたりの遺伝子、フレキシブルなのかも。
ただ、マスカット品種は、やっぱり、どれもマスカット香はある(というか、交配して残す時にマスカット香のあるものを選んでいる気もするけど)。
もっとも、この記事の最初に出てきたポートランドは北米系交配種で、tastyはFOXY。つまり、同じブドウの香りでも、フラネオールなどが主体となったフォクシーフレーバーであってもおかしくないはず。ただ、フラネオール主体の香りも、やっぱ、「ブドウの匂い」のような気もするし、マスカットの香りと、どう違うのか……。どっちもブドウじゃんという感じで、違いがよくわからなくなってくるのでした。