ベーリーを親に持つ川上品種のひとつブラック・クイーン。
知名度や量からするとO.I.V.にも登録されているマスカット・ベーリーAには及ばないものの、令和4年度も赤ワイン品種ベスト10にはランクインしていて、女王の名に恥じない活躍をしている品種。
ベーリーAが赤ワインとしては比較的明るめな色でロゼにされることも多く、味もライト、華やかな香りがするものが多いのに比べ、ブラック・クイーンは北米種特有の甘い香りがしないことはないけれど、どちらかというと濃い色でヨーロッパ品種に近い感じのワインが多いように思う。
系図を見ると、片親はベーリーAと同じベーリー。もう片方のゴールデン・クイーンは北米系ハイブリッドであるものの、3代前に一度交配されているだけで、繰り返し北米系の遺伝子が入っている可能性のあるベーリーよりも北米系の香りは薄めなのかも? VIVCのデータでは、TASTEはNONE。
ベーリーAのもう片親のマスカット・ハンブルグはヨーロッパ系の交配種だけど、マスカット系統が入っているぶん、マスカット系の香りの遺伝子も影響しているという可能性も。ただし、VIVCのデータでは、TASTEはNONE。親のベーリーはFOXY。マスカット・ハンブルグはMUSCAT。これは、親世代にマスカット種があるから不思議ではない。
ただ、ブラッククイーンの親のゴールデン・クイーンもなぜかMUSCAT。さらにさかのぼると、ブラック・アリカンテはNONEだけれど、FERDINAND DE LESSEPSはFOXY。これは、一代前のISABELLAがFOXYなのに由来するのだと思うけれど。ただ、これでは、どういう具合で子孫にMUSCATが出たのかは、よくわからない。
ちなみに、ブラック・クイーンをもっとも産出しているのは、長野県。ついで山梨、山形。もちろん、川上善兵衛氏ゆかりのの岩の原葡萄園(新潟)でも栽培され、ワインも出ています。
これまでは、比較的ブレンド素材として使われることが多かったためか、生産量のわりに単独品種のワインとしては出回っていなかった雰囲気もあるのだけれど、最近はそこそこ見かけるように。値段もヨーロッパ系の単独品種もの(メルローとかピノ・ノワールとか)よりは入手しやすくなっているし、味や色も安定している気がする。
北米系品種特有の甘い香りも、感じない感じ。むしろ、果実香とか樽香(樽使って作っている場合)寄りなので、どちらかというとヨーロッパのワインに近い感じの気がする。
ただ、この雰囲気が反対に「日本」を主張するには、曖昧な感じなのかも?
ただ、「甘いワインは嫌」ふつうに「赤ワインが好き」という人には、おすすめな感じはします。
#日本ワイン#今日のワイン
— もりのパパ (@morinopapa) June 9, 2022
キザンワイン 赤 2020
山梨県甲州市塩山 機山洋酒工業(株)
アルコール分:11%/糖度:6.7%(実測)
山梨県産ブラッククイーン 辛口赤ワイン
マスカットベーリーAのような香りはするが気にならない。酸味、苦味強めだけど、まろやかでさっぱりしてる。
🖤🖤🖤(おすすめ) pic.twitter.com/pI0bZEVURH