デラウェアの王様? キングデラ!

広島の妹から「先日、三次ワインのデラウェア試飲させてもらったら、美味しかった」と聞いていたのだけど、たまたま帰りがけ広島駅のsake place に立ち寄ったら、売ってました。

キングデラポスター

妹はデラウェアって言ったけど、キングデラじゃん。
確か、キングデラとデラウエアは別物だったような。
なんでも、三次ワイナリーでは、今年を最後にキングデラの畑はヨーロッパ品種の何かに植えかえられるとのこと。
もともとキングデラは生食用だけれども、生食用はシャイン・マスカット一強状態だし、ワインとしても、やっぱりネームバリューがあるのは、ヨーロッパ品種だもんなぁ。
ただ、キングデラ、生食用ぶどうとしては貴重種でもあるし、種なしでとてもおいしいブドウとのこと。ただ、育てるのが超手がかかるらしくて……。

ところで、キングデラ、「デラ」とつくだけに、単純にデラウエアの大粒品種かなと思うと、説明には「デラウエアとは別品種です」と書いてあるサイトなどもあって、混乱するのですが、キングデラは大阪府、中村弘道氏によって1976年に交配された品種で、親は「レッド・パール」と「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。
マスカット・オブ・アレキサンドリア(アレキ)は、ご存じマスカット・ベイリーAの親。では、レッド・パールは?

こういう時に役立つVIVCのデータベース、検索してみましたよ。
そこで、レッド・パールは「デラウエアの変異種=4倍体」であることが判明。
なーんだ、やっぱりデラウエアに関係あるじゃん。
ただ、レッド・パールが4倍体なので、これに通常の2倍体のアレキをかけ合わせれば、3倍体のキングデラができあがるというわけ。3倍体はナガノ・パープルなどと同様にほぼ種なしになります。
デラウエアも通常、種なしで売ってるけど、これはジベレリン処理のたまもの。デラウエア自体は、アメリカで偶然発見された自然交配種で、出自がさかのぼれません。

デラウエアの甘さ華やかさに、アレキの上品さを加え、さらに大粒で種なし…これで、作りやすかったら、もっと流行ったんだろうけどなぁ。もっとも、皮が固いか。
息子など「ぶどうはおいしいけれど、種や皮を出す手間をかけるくらいなら、食べなくていい(無精者めっ!)」などという輩もいるからなぁ。

さて、三次ワインのキングデラですが、息子が一時帰国した時に飲んでみました。
デラウェアだけど、マスカット系の上品な奥深さを感じるテイスト。フォクシーも微かにあると言えばあるけれど、それほど嫌味ではない感じ。
もう、この先、この味は味わえないかなぁ。