ロンドは踊るのか?

先日、念願かなって北海道ワインの「ロンド」を入手した。
緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の合間になんとか開催された北海道展。なみいる海産物には目もくれず(moripapaが興味がない)一直線に、おたるワインのブースを目指し(すごく奥だった)、ゲヴュルツトラミネールとバッカスと一緒にゲットしたのでした。

ぶどう品種のロンドについては、「サン・ローランを巡る交配種 ロンドとツヴァイゲルト」で紹介した通りなのだけれど、まだ、この時はVIVC(世界ぶどう品種カタログ)のデータベースから系図を作成していないので、ロンドの親のザーリャ・セヴェラについても、ツヴァイゲルトの親のレンベルガーについても、簡略化した説明だけ。
もっとも、レンベルガーについては、「ホイニッシュとサヴァニャン」の中の系図でホイニッシュ系のぶどうということは説明しているので、興味のあるかたは上のリンクをクリックにゃん!

サン・ローラン系統図
サン・ローラン

ザーリャ・セヴェラは、名前の感じからわかるように、ロシアの交配種。ヴィニフェラのほうは、BICANEというイタリアマスカットの親にもなった白ぶどうと、パスポートデータのないピノから生まれたMALINGRE PRECOCEから選別されたSEYANETS MALENGRA。これに、アムレンシス( AMURENSIS) 種を掛け合わせたもの。
アムレンシスは、マンシュウヤマブドウ、チョウセンヤマブドウとも呼ばれ、朝鮮半島、中国東北部、ロシアに自生する山葡萄。中国名も山葡萄。
ちなみに、wikipediaによると、十勝ワインのアムレンシスワインは、本当は別の山ぶどうらしい。

ロンド(rondo)は、ドイツで交配された別名GEISENHEIM 6494-5。ガイゼンハイム大学 ブドウ育種研究所産。
日本でロンドというと「輪舞曲」という訳になるけれど、ロンドは音楽用語でロンド形式のことを言い、曲の流れを説明したもので、特に舞の曲ではない。WEBで辞書を引くと「フランスで発達した輪舞」という説明が出てくるのだけれど、ここが何か怪しい。もし、rondoが輪舞なら、今でも、検索したら出てきそうなのに、出てこない。ラウンドダンスもサークルダンスも、フランスではなくアメリカ。ドイツにはreigenという輪になって踊るおどりがある。輪舞と訳されている。
ロンド(ronde)なら、円形。rondoと言えば、やっぱりロンド形式。これも、円に関するものだけれど、やっぱり輪になっては踊らない。
輪舞=ロンドの原典として、永井荷風の「珊瑚集」(翻訳詩集)が出ているので、見てみたが(最近は、アーカイブがあるので、探せばある)原典になったノワイユ伯爵夫人の「九月の果樹園(原文はわからない)」は、まだ探せていない。

まあ、すでに100年以上、ロンド=輪舞なので、日本語としては定着しているということだわね。ただ、ロンド形式=輪舞曲というと、誤解するよねえ。別名、回旋曲だそうだけど、意味は正しくても、これも、なんかねという感じ。

話がそれたけれど、GEISENHEIM 6494-5がrondoと命名されたのは、丸いからなのか、何かが円形なのか、それとも交配の時に、ロンド形式っぽい何かがあったのか、その時にロンドと名の付く音楽(いろいろある)を聞いていたのか、それはわからない。