日本で交配されたぶどう品種の多くは「北米系品種の相関図」でも紹介したとおり、どこかに北米系品種の遺伝子が入っている。
ヨーロッパ系のぶどうが気候の違いなどで、育てにくいのに比べて、北米系の遺伝子が入ってた方が、日本では育ちやすいのかも?
ただ、気候も変動してきているし、日本ワインを取り巻く環境や交配技術もどんどん変わってきていて、北米系の遺伝子の入っていない品種も、そこそこある。
ちなみに、moripapaはいつも「ブラック・クイーンって山ぶどう系だよね?」と勘違いするのだけど、これは、バリバリ北米系ですから。(系図は北米系品種の相関図で)って、川上品種5種のうち4種は母がベーリーですから、北米からは逃れられないのです。で、このブラック・クイーンとカベルネ・ソーヴィニヨンを交配させたのが、「甲斐ノワール」
……ここまで書いて、まだ北米系から離れられてない。
結局、北米系が……うんぬんと言ってしまうのは、ワインにおいては、独特の「甘い香り」いわゆるフォクシーフレーバーが、大なり小なり出てしまうから。
好き嫌いはあると思うし、必ずしも、このフレイバーがあるのが悪いわけではないけれど、やっぱ「ある」と「ない」では、違うとは思うのよね。
で、日本の交配種の中で、系図的に北米系が「入ってない」ものを探してみました。
ビジュ・ノワール
甲州三尺系:メルロ、マルベックとの交配種
#日本ワイン#今日のワイン
— もりのパパ (@morinopapa) March 1, 2020
牧内 プライベートリザーブ ビジュノワール
宮崎県児湯郡都農町 (株)都農ワイン
アルコール分:12%/糖度:7.3%(実測)
宮崎県都農町産ビジュノワールで造った、辛口フルボディ赤ワイン
ほんのりフルーティーな香り。しっかりとした渋み。東夢のより甘い感じ。
☆☆☆☆ pic.twitter.com/GpwiMdPBQ2
リースリング・フォルテ、リースリング・リオン
甲州三尺系:リースリングとの交配種
#日本ワイン#今日のワイン
— もりのパパ (@morinopapa) March 21, 2020
朝日町 リースリングフォルテ&リオン 2018
山形県西村山郡朝日町 (有)朝日町ワイン
山形県朝日町産リースリング・フォルテ種とリースリング・リオン種で造った辛口白ワイン
ほのかな柑橘系の香り。そこそこの酸味でさっぱりとしている。
☆☆☆☆ pic.twitter.com/lthOyVvYP1
瀬戸ジャイアンツと甲斐美嶺は、あんまりワインにしないと思うけど、これもノン北米系。ちなみにレッド・クイーンは、VIVSの登録名はクイーン(QUEEN)で、マスカット・ハンブルグとサルタニーナの交配種。このサルタニーナ(SULTANINA)のデータが白紙で、謎なのだけれど、種はVINIFERAとなってるので、ヨーロッパ系でいいんだと思う。
シャインマスカットは、スチューベンが入ってるので、北米系入り。
アルモノワール
山梨県果樹試験場産:カベルネ・ソーヴィニヨン×ツヴァイゲルトレーベ
コリーヌ・ヴェルト
山梨県果樹試験場産:シャルドネ×ケルナー
甲斐ブラン
山梨県果樹試験場産:甲州×ピノ・ブラン
最近の山梨県果樹試験場産の品種では「モンドブリエ」もあるのだけれど、これは、カユガ・ホワイトが、北米系(セイベル系含む)なので、北米系入り。
小公子
山ぶどう系:日本葡萄愛好会の澤登晴雄氏の作。
ヤマ・ソーヴィニヨン
山ぶどう系:山ぶどうとカベルネ・ソーヴィニヨン。
山梨大学の農学博士・山川祥秀教授
ヤマ・セミヨン ヤマ・メルロー
山ぶどう系:山梨大学ワイン科学研究センター産
甲州(甲州三尺ふくむ)や山ぶどうは、日本固有種なので、日本で育てやすい遺伝子が入ってるってことだよね。北米系もきっとヨーロッパ系よりも、日本で育てやすい遺伝子が入ってるんだね。
ヨーロッパ系だけの交配品種は、ここに挙げた中では、アルモノワールとコリーヌ・ヴェルトだけ。
他にもありそうなんだけど、交配元(研究所とか試験場とか)から、サーチしていかないと無理かも。