デラウェアと甲州と島根県

先日、生協のカタログで島根ワイナリーのデラウェアが出ていたので、買ってみた。
大阪出身のmorinopapaはぶどうと言えばデラウェアというくらい大好き。
もっとも、ワインとしてのデラウェアは、北米種だし、よく見かけるし……ということで、あんまり意識したことがなかったかも?

日本ワインの品種としては、デラウェアは受け入れ数量が甲州、ナイアガラに続いて3位。種なしブドウの生食用として、あまりにも有名な品種だし、ワインとしてのイメージじゃないよね。
ただ、我が家の飲んだワインリスト(Twitter)を検索すると、結構、デラウェアのワインもたくさん出てきて、もっとも、ブレンドだったり、早摘みだったりが多い。

島根=デラウェアというイメージもあまりなかったのだけど、調べてみると、島根県は思いのほか、ブドウの栽培には適している土地らしい。
デラウェアの生産量については、2006年のデータしか探せなかったのだけど(古すぎるなぁ)、山形県、山梨県、大阪府についで、堂々の4位。
もっとも、ぶどう全体の生産量については、平成30年産果樹生産出荷統計(農林水産省)のデータでは、全国15位となるので、デラウェアは特別かな。

島根県といえば、国税庁の「国内製造ワインの概況」の統計で、甲州種の主要産地として島根県が山梨についで2位なのも気になっていて、山梨に比べれば量ははるかに少ないけれど、それでも3位の山形よりもはるかに多いのは、どういう理由なんだろう?

そういえば、昨年、島根ワイナリーの「島根わいん縁結 甲州2018」が日本ワインコンクール2019の金賞を受賞したのも、耳に新しい話。その時も、「どうして、島根で甲州?」とは、思ったんだった。
島根ワイナリー、何年か前に観光のついでに立ち寄ったのに、その時はまだ、ワインのことそれほど調べたりしてなかったんで、お土産売り場をうろついて無料試飲しただけだったことが悔やまれる。

島根ワイナリーのサイトを見ると、最初はデラウェア100%の醸造所として設立されたそう。島根県の農業技術センターのサイトを見ると、幕末に浜田市で佐々木新三郎氏が甲州ブドウを植えたことが始まりで、その後、海岸部の砂丘地に栽培地が広がっていったものの、大正から昭和にかけて、デラウェアが栽培されるようになると、甲州種よりも病害に強く早熟だったため、甲州種からデラウェアへの転換が行われたとのこと。

今現在の、島根ワイナリーの甲州種は、サイトによると出雲市と益田市の契約栽培園のものらしいんだけど、このぶどうが、明治時代ごろからずっと残ってきたものなのか、それとも近年になって植えられたのかどうかまではわかりませんでした。

大阪のカタシモワイナリーの農園情報の中で、堅下甲州の説明として明治政府が「現在の島根県・鳥取県・大阪府・兵庫県・栃木県・宮城県に甲州ぶどうの栽培を命令して広め」たという記述があるのですが、この裏付けが取れていません。この時に、農業試験場(たぶん、内藤新宿農事試験場)から苗木が島根県に配布されたのなら、明治期に島根県で甲州種が行き渡っていた理由にもなるとは思うのですが。
明治時代には、殖産興業の一環として、ワインづくりが推奨された時期もあったのですが、その後、順調に行ったわけではなく、途中で頓挫していますから、資料がないのも無理はないのかも?